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[chronicles]
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1975年度をふり返って
page 1 2 三品裕司 |
50年2月8日から、もう一年が過ぎた。49年度は、常念という目標を目指した一年間であったが、今年は下級生の育成に専念した一年間であった。高一も中三も一人もいない現状では数少ない高二だけで再び常念クラスをねらうより、中二、中一の、しっかりした基礎固めをする方が、今後とも部のためになるからというわけである。合同合宿も終わり、一学期の始業式の後、第一回ミーティングでは、次の事を決めた。
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文化祭も終った頃には、オリエンテーションと勧誘の甲斐あって中一も何名か、入部した。5月のオープン山行は、部外者の参加もあって、えんえん二〇米に及ぶ大パーティーとなった。
そのような中で一人いた高一が部を離れていった。中学生の面倒を見るのはいやだ。自分の山を大切にしたいというのである。僕らは、その方が彼のためにも、また部のためにもよいと考えあえて止めはしなかった。6月月例を見てもわかるように、依然中二は弱かった。大体、彼等が入部した時の状態というのが、「みんなみんなおともだち。ボク入るからキミも入れよ、たのしいたのしい山岳部。」 ムードにのせられて入部して惰性で続いているというような者が多かった。別のいい方をすれば「買手市場」ということができるかも知れない。当面の目標は、一人の中三とその他大勢的な中二の強化であった。 |
一学期も終わりに近づいたある日、太田(弘)OBに、こういわれた。
「いつまでも、中学生に来て下さいといっているようではだめだ。自分から来ないような根性無しだったらいてもしようがないのではないか。」 ごもっとも。しかし今までは、山とは何か知らない者に、知らせてやるため「来い来い来い来い来ておくれ」とやっていたわけである。が、これが太田OBのいうような温室効果を齎していたのである。いつかは、この温室を吹きとばす高度成長が必要になる。その時期は夏休みだと僕らは考えていた。朝日連峰での、ややスケールの大きい合宿で、中三、中二に「俺は山岳部員だ。仮にもアルピニストだ」との自覚を持たせ、そして八ヶ岳での合宿で、全部員の参加により、チームワークを養なおうというのが僕らの構想であった。 |
ところが朝日では、山行自体はうまくいったのだが参加者の点でいくつもトラブルがあり、完全に目標から後退してしまった。合宿に来た者は、
「幕営生活はおもしろい」 などと、少しずつ山の良さがわかって来たようだったが、逆にいえば行かなかった者との差が広がってしまったという事になろう。 そこで8月3日、高二と中三が、林OB鈴木OBを交えて中学合宿の検討をした。 合宿の目的を最低線までのレベルアップにするか、中三と中二あるいは中二と中一の顔合わせにするか、そして中学合宿の後にもう一つ合宿を組むか、という事も含めて話し合ったが、結局、コースは計画通りで日時を4日遅くし、全員が参加できるようにした。 そのため、中一は全員、中二もほとんどが参加した。 僕らも朝日での失敗を肝に銘じていたから山を知りチームワークを養う合宿として、相当の成果があったものと思う。合宿後、ある中学生は次のような感想を述べた。 「この合宿は朝日の合宿のおもしろさにつられて来たが本当に楽しかった。合宿なんていった者でなければ、その良さがわからないというが本当にそうだと思う。とにかくよかった!」 |
ところが、一人しかいない中三は親の猛反対にあい、両合宿とも直前に参加を断念せざるを得なかった。平野先生や、OB諸氏を交えた話し合いも、彼の両親を説得する事ができなかった。さらに悪い事には二学期になって間もなく、彼自身が内臓を悪くしてしまい山登りどころではなくなってしまったのである。
中三はあきらめるしかなかった。残るは中二、中一である。彼らをあと半年で一人前にしなければならない。果してできるだろうか?負担が大きすぎてつぶれはしないだろうか? しかし夏合宿を経験した中二は僕らの難題に少しずつ確実に答えていってくれた。 |
9月月例ではコースだけ決めておいて、装備、食料、買い出し、交通機関問い合わせとみんな中二にやらせてみた。夏合宿でやった事がどれだけ身についたか、失敗しても大丈夫な山で実戦というわけである。
この試みがまずまずの結果を収めたので、次に二学期いっぱいかけて、平常の係をだんだん移していく事にした。山は次第に積雪季に近づいていく。 |
「1975年度をふり返って」後半へ続く |
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