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那須朝日岳遭難追悼号 |
追悼の辞(1972)麻布学園校長 海野昌平
高松武信、坂本道哉両君の不慮の遭難は、青天の霹靂でした。誠に悼惜の至りに堪えません。 四月十日正午頃、麻布高校生三名、那須岳にて雪崩のため遭難のニュース第一報が学校に入りました。折から居合わせた先生と共に非常に驚いたのですが、最悪の結果になろうとは思わず、速かに現地に救援に出かける相談をしたのでした。それが、続いて入ったニュースで、二君の遭難死を知り、驚愕は悲しみとなったのでした。今に返らぬ操り言ながら、残念でなりません。若い人々の死ほど、心を痛めさせるものはありません。まして、それが思いがけぬ災難とは言え、突如として生命をうばわれたことを思うと、いたわしい限りです。 青春に富む両君は、定めて将来に対する希望なり、抱負なりが、たくさんあったでしよう。そして、いつの日か、それ等が現実の姿となってあらわれてくるのを夢に描いて楽しんでおられたにちがいありません。それが、一瞬にして消え去り、幽明境を異にしてしまいました。両君にとって、どんなにか残念であったでしよう。私はその胸中を推察すると、胸に迫りくるものがあります。 なお、また、御両親の御心中をお察し致します。ここまで大きくなるまでには、御両親の御苦労は大変なことで、子を持つ親の誰でもが知ることです。殊に、育児時代のお母さんの、一身を犠牲にしてといってよい程のおいつくしみを思うと、大事なものを失うことにしてしまったと、私達の注意の行き届かなかった事が悔まれてなりません。誠に申しわけないことであります。 当時の事情や、雪崩の情況等については、多くのOBや同級生諸君によって詳しく述べられることと思います。私はこの両君の遭難のことが、その記録が、これからの麻布生、いや多くの若人の一大指針となるならば、両君の遭難が無とならないと信じます。そして、それが、せめてもの両君に報いる所以となると思います。 |
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