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《2004年8月30日》
今日はよく晴れそうだ。歩きはじめてすぐ、視界いっぱいに越後駒ヶ岳につづくなだらかな草原がひろがり、水量も乏しくなってきたなと思うまもなく、駒ノ小屋の水場に行きあたる。(115)そのまま踏み跡をたどって小屋の前へ。今日は平日だからだろう、登山者はわれわれ以外にはだれもいない。駒ヶ岳山頂ですばらしい展望を愉しむ。正面には八海山が見事な両翼をひろげ、ピラミッド形の中ノ岳の先には奥利根の稜線、その奥に燧と至仏、会越方面には守門、浅草、その先には飯豊連峰がかすんでいる。(132、133)
下りは、グシガハナまでは左下に水無川北沢の深い切れ込みを見下ろしながらすすむ。そこから先はシラビソやダケカンバの混在する樹林帯に入り、猛烈な傾斜でスリップにひやひやしながら、黙々とくだり、2時間半で出合にもどる。3週間前にも寄った「駒子の湯」で汗を流し、越後湯沢の「中野食堂」で、大ジョッキで乾杯。メニューも多く、なかなかいい食堂だった。(140)
思いかえせばこのオツルミズ沢は、かれこれ20年ちかくまえから気になっていた沢で、おりに触れて高坂にも提案していたのだった。そのころ高坂はフリークライミングに入れこんでおり、「沢登りにクライミングは求めない」と取りあってくれなかったが。たしかにクライミングの沢といえばそうなのだろう。でも、このすっきりと明るいスラブの大滝にザイルを延ばしていく爽快感は、ちょっとほかの沢では味わえないものではないだろうか。岩はしっかりしていてそれほど困難ではなく、草付きも掴んでバランスを取る程度なら充分に役だった。今回のためにアイスバイルを新調したのだが、草付きに刺すことは一度もなく、もっぱらビレイ用に打ったハーケンを抜くのに使われた次第。
長年の課題をはたし終え、満足のいく3日間だった。 |
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