1998
日本山岳耐久レース
(長谷川恒男カップ)

直井昌士(昭56卒)

 

 これでほぼ中間点。
 時間にして11時間経過だが、ウルトラの中間点よりダメージは少ない。
 やはり「走り続けていないから」か。
 食欲もあるし、水分も問題なく摂取できる。
 やはり、負荷が低い分?  というわけでまた食事。
 カロリーメイト缶などを飲む。
 疲れているときには、夢のようにおいしい>カロリーメイト。
 水はあと500mlも残っていない。
 これからは下り基調なので、月夜見まではなんとかなりそう。
 だが、月夜見も1500mlだけの補給なので、その次の水場までそれで保つかどうか・・・ まだ不安は消えない。
 ここで少し暗くなってきたヘッドランプの電池交換。
 月で明るかったこともあり、予備のヘッドランプで照らしながら、手間取らずに交 換できた。
 時刻を記録しようとして、ウェストバッグを探るが、鉛筆がない。
 どこで落としたか。西原峠か?
 ゴミだけは落とすまいと気にしてきたのに、なんたる失態。
 ペンなどは落とさないような携行方法が必要だと痛感。
 三頭山頂発 0:05。
 給水のある月夜見までは約2時間の行程だ。
 ここからの下りがキツい。  道が悪い上に、右足裏痛。
 膝や筋肉も少しづつダメージを感じつつある。
 「ツツツツ下り」もキツくなってきたので、ペースを落として下る。
 しかし、ぐんぐん下るものだ。
 月夜見まで単純標高差で380m。
 左奥多摩湖側にスッパリ切れているところもあり、この区間は慎重にゆっくり、急 がずに行く。
 途中、滑りそうな坂が何度もある。
 これらの坂を、雨の日に下りた人を私は本当に尊敬する。
 私はぜーーーったいにイヤだ。
 今のコンディションでさえ、ストック無しでは下りたくない。
 途中、見晴らし小屋があり、そのベンチでちょっと寝ころんでみる。
 月と星。  きりっとした空気。
 このまま寝れたら気持ちいいだろうなあ、と思うが、ぜんぜん眠くない。
 そのうち、ゆっくり夜の山に来よう、と思って立ち上がる。
 何回か、奥多摩有料道路の舗装道路を横切り、ようやく月夜見の補給ポイント到着。
 2:15。この区間は実に長かった。
 後から見ると、この区間だけ、コースタイムより時間がかかっている。
 とにかく、水に辿り着けてほっとする。
 きっちり1500ml、水またはエネルゲンを量ってくれる。
 私は、エネルゲンの水割り1000mlと、水500mlで補給。
 さて、これで大岳or御岳まで保たせなければ。
 件の女性も、少し遅れて入ってきていて、ここで始めて、ちゃんとご挨拶(これま では背中越しだけでの会話・・・不思議なもんだ)。
 聞けば、三頭の避難小屋で少し寝てきた、とのこと。
 また下りで追いつかれるだろうと、2:30先に出発。
 このままだとゴールは22時間を切れるかどうか、というところか。
 ただ、これからは、下り基調だし、御前、大岳、御岳、日の出と、適当な間隔でピ ークがあるので、気は楽だ。
 本格的な登り区間もあとは御前だけ。
 月夜見峠から小河内峠までが緩やかな下り。
 小河内峠からは、厳しい三段登りが待っていた。
 ここまで、どの登りも、「バクバクして楽しいだけ」だったのだが、この三段登り だけは、さすがにキツかった。
 これまでは坂の途中でペースを落とすことはあっても、立ち止まることがなかった が、ここでは1回だけ、 立ち止まって息を整えた。
 最後の登りで、件の女性が追いついてきて、御前山頂で休憩。
 彼女の山仲間が2人、次々と上がってきて、ここからは4人パーティで行く。
 夜明けが近くなり、急激に冷え込む。
 止まっていると、震えるほど寒い。
 ここからは歩行中もウィンドブレーカー着用。
 時々暑いが、寒いよりマシだ。
 御前山発4:18。
 大ダワの手前あたりで、東の空が白みだす。
 綺麗な朝焼けになりそう。
 大ダワへ下り、少し休憩。
 ここでヘッドランプをはずす。
 大ダワからは、気持ちいい尾根歩き。
 前方に綺麗な朝焼け。右側は昨晩登ってきた笹尾根を手前に、丹沢、富士山が綺麗 に見えた。  んー、気持ちいいなあ。
 夜が明けて元気が回復したせいもあり、パーティの先頭に立って快調に飛ばす。
 大ダワ→大岳は、コースタイムの50%を切るペース。
 気持ちいい〜。  この区間は、みんなで喋りながら進む。
 そのうち、件の女性が、知人の知人(同じ山岳会)であることが判明。
 うーん。世の中狭い(^^)。
 また、この辺では、春、阿蘇のウルトラマラソンで知り合った大分のトライアスリ ートとも一部一緒に歩く。
 大岳山6:21着。
 朝の清冽な空気。素晴らしい眺望。
 ここまで歩いてきてよかった〜。心から幸せ。
 大岳から鎖や階段のある悪路を過ぎて、急な下りをしばらく下ると、水場。
 水が相当少なくなっていたので、ここで補給のため、パーティと別れる。
 ちょっと足場の悪い水場で補給に手間取る。
 ついでに洗顔(無茶苦茶きもちいい)、ワセリン塗りなどで15分休憩。
 御岳へ向けて、この区間はこんなに下っていいのか?というほど下りまくる。
 道が少し広くなり、緩やかな下りで走れそうなところは、ゆっくりだが走って下る。
 暑くなってきたし、歩いているより走った方が楽だ。
 最終関門御岳(長尾平)着7:55。  関門の2時間前。
 ここで最後の補給に、ザバスパーフェクトバー(チョコ&ナッツ)を食べ、リゲイ ンを飲み、長袖シャツを脱いでランシャツに着替え、気合いを入れる。
 日の出からの金比羅尾根は、コースタイム3゜15'だが、実際は2゜00'ちょっとです よ、とスタッフが話しているのを聞く。
 ならば、21時間台は充分可能か。出発8:10。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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